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生涯にたった一度の、破滅の恋。~カミーユ・クローデル~ [l'histoires de femmes]

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フランスの近代彫刻家のロダンには、美貌の天才女弟子がひとりいました。
それがカミーユです。
彼女はモデルも務めていたため、四六時中ロダンとともにいました。

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19歳で42歳のロダンに出会い、初恋に情熱的に身を投じ、かつ偉大な師でもある彼から芸術的な刺激
も受けて、彫刻の才能も発揮するのです。

ca6.jpgロダン(ジェラール・ドパルデュー)とカミーユ(イザベル・アジャーニ)

彼女は若く才能にあふれ、激しい情熱でロダンを愛しました。
でも彼女の倍以上年の違うロダンは、次第に彼女の情熱が重荷になってきてしまいます。

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それに彼には、20代のころから彼を陰で支えてきた内妻がいたのです。
結婚こそしていませんでしたが、子供もいました。
彼女は彼の浮気が発覚するたびにじっと耐え忍んできました。でも今回はいつもとは違うと、
女の直感でわかったのかもしれません。

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年が半分ほどの小娘だけれども、ロダンとは芸術という強いきずなでつながっているということに、
ロダンの霜降の内妻はカミーユに対して大きな不安を覚えたのです。

ある日、彼女はカミーユのもとへ怒鳴り込みました。
カミーユの髪をつかみ、嫉妬心をぶつけたのです。
若いカミーユにとって、これは大きな衝撃となり、心の傷となったことでしょう。

ついにはロダンの子を身ごもりますが、中絶してしまいます。
そのころから徐々に、彼女の精神状態は砂時計のように静かに崩れ落ち始めます・・・。

ロダンは結局、内妻を選びます。これにカミーユは深く深く傷つきました。

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最悪の別れの後、彼女はロダンへの思いを断ち切ることができずにいます。
彼とともにあるうちは、自分の作品をそっちのけで、彼の作品の手伝いばかりでした。

彼と離れても心は休まらず、次第に心が壊れてゆきます。

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そして彼のアトリエに乱入しては醜態をさらすということまでします。
プライドの高い彼女がそこまでしてしまうとは、よほど追い詰められたのでしょう。

こういう場合、才能があったとしても、先に成功しているほうに世間は味方するのです。
彼女が作る作品はみな、ロダンの真似だ、と陰口をたたかれるのです。

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激しい情熱を秘め、そのうえ誇り高い彼女には、こんな仕打ちは耐えられない事でした。
何も知らない人たちにまでも、心無いことを言われ続けたのですから。

私は、彼女がロダンと出会った時と同じくらいの時に彼女の伝記を読みました。
その頃の私はほんの子供でしたので、ロダンがきたない大人に思えて仕方がなかったのですが、
今は少し見方が変わったかもしれません。

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ロダンは確かに男としては最低です。
でもカミーユは彼には過ぎた存在だったのでしょう。
ほんの軽い気持ちで始めた若い娘との恋愛のつもりが、次第に不安を募らせていったのかもしれません。

妄想によって自ら破滅の道を突き進むカミーユ。
それは天才ゆえのたどるべき道だったのかもしれません。

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40代で発狂し、48歳で精神病院へ入れられました。
それから30年、彼女は精神病院で過ごしました。
実の妹はカミーユとは相いれず、一度も見舞いには来なかったと言います。
女性が芸術家を目指すということがとても目立っていた時代、妹のルイーズは保守的な女性だったのでしょう。
「まともな」道を歩まないから、そんなことになるのよ、と思っていたのかもしれません。

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誰とも口をきかず、自らを孤独の中に投じてロダンへの憎しみだけを日々募らせて、箱庭の中で生ける屍となって生きるカミーユ。時々は狂気に走り、自らの作品を破壊しました。

純粋な魂の行きつく先は、悲しいところばかりのようです。


ca.paul.jpgポール・クローデル。

彼女を彫刻家時代から経済的に援助していたのは、弟のポ-ル・クローデルでした。
彼は日本に大使として来日し、文楽を気に入ってフランスに紹介した人です。

パリ大学で法学を学び、ロマン・ロランとは幼馴染です。ランボーに傾倒し、自らも詩や脚本を書きました。
ランボーに関しては評論も出版しています。バレエダンサーのニジンスキー、政治家のシャルル・ド・ゴールとも
交流があった顔の広い人物です。

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彼が親日家だったのは、姉のカミーユのジャポニズムの影響だったと言われています。
彼のおかげで、文楽、歌舞伎、能楽がフランスに詳しく紹介されたのです。
関東大震災の際も、惜しみない助力をしてくれたようです。

そんな彼が忙しすぎて数年に一度くらいしか姉を訪ねることができなくなりました。
両親に勘当され、妹にも軽蔑されていた精神を病んだ姉の、唯一の理解者だった弟。
彼に看取られることなく、カミーユは南フランスの精神病院でひっそりと無くなりました。


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イザベル・アジャーニ主演で制作された映画は、ポールの孫娘が原作を書いています。
アジャーニの、妖しく狂気に満ちてゆく若い芸術家の演技が素晴らしいです。

生涯にたった一度の恋に、気が狂うほどのめりこんだ女。
今だったら、狂わずに済んだかもしれないけれど・・・
すこし早い時代に生まれてしまったのですね・・・。





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ご自由に16

伊閣蝶

映画「カミーユ・クローデル」のイザベル・アジャーニの存在感は、観ていて息をのむほど大きなものでした。
今でも強く印象に残っています。
by 伊閣蝶 (2011-07-24 00:21) 

月夜空

こんばんわ^^

恋に溺れるということは、怖いですね。
by 月夜空 (2011-07-24 00:47) 

末尾ルコ(アルベール)

映画はもちろん、カミーユの伝記もよく読みました。
アジャーニといえば、「アデルの恋の物語」。
わたしの中では最高の恋愛映画の一つです。

                              RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2011-07-24 00:58) 

ラブスコール

純粋な魂の行きつく先は、悲しいところばかりのようです。
というフレーズに心打たれちゃいました^^;
by ラブスコール (2011-07-24 04:46) 

rtfk

映画を見てみたいです^^)
by rtfk (2011-07-24 05:24) 

旅爺さん

海外ではいろんな作品を見て来ましたが
作品のいきさつを聞くのも面白いものですね。
by 旅爺さん (2011-07-24 06:58) 

アヨアン・イゴカー

カミーユの人生は悲しすぎます。しかし、運命が彼女にこんな道を選択させたのだと思います。自身が芸術家であるが故に、師の偉大さが分かり、のめりこまざるをえない、そしてロダンも自分の芸術を真に理解してくれる美貌の女性から、一生逃れることができない。カミーユの存在、出現によってロダンの芸術は精神的にも、哲学的にも奥深くならざるをえなかった、そんな気がします。
カミーユの本は読んだことがありませんので、そのうち読んで見ます。
by アヨアン・イゴカー (2011-07-24 09:45) 

hatumi30331

映画面白そうですね〜♪
WOWOWチェックしてみます。^^
by hatumi30331 (2011-07-24 11:12) 

扶侶夢

芸術の生み出すひとつの側面として、胸の詰まる人生ですね。
by 扶侶夢 (2011-07-24 12:37) 

よしあき・ギャラリー

いや~、切ないです。
by よしあき・ギャラリー (2011-07-24 13:19) 

マチャ

このエピソードは初めて知りました。
今回も興味深い記事でした。
いつもありがとうございます(^-^)/
by マチャ (2011-07-24 14:44) 

ナツパパ

すごい、すごい人生だ、としか言えない。
今こういう関係があったら、この国ではどう報道されるのだろうか。
想像するのが嫌になるけれど、気になる。
by ナツパパ (2011-07-24 20:37) 

アルマ

ゼータガンダムの主人公のカミーユ・ビダンはこの人をモデルにしたそうですね。なので最終回に精神に異常をきたすのも最初から決まっていたとか。
ロダンの考える人、実はカミーユが作ったのではないか・・・
なんて話もありますね(^^ゞ

by アルマ (2011-07-24 22:44) 

【みなと】

映画『カミーユ・クローデル』は,十数年前にテレビで見ました。
イザベル・アジャーニがすごく若く見えたのが印象的。
そして,カミーユの狂気も表現されていて,胸が痛くなりながら鑑賞したのを覚えています。
by 【みなと】 (2011-07-25 14:23) 

sig

芸術家は純粋すぎるのかも知れませんね。
by sig (2011-07-26 00:53) 

Jeanne

美術館でカミーユの彫刻を見て、しばらくその場から動けませんでした。
私は、彫刻を見るずっと前から彼女の事を知っていました。
彼女が壊したかったのは本当は、自分自身と、ロダンと過ごした記憶だったんじゃないかと思います。
でも、壊せないから、その代わりに彫刻を壊して、やり場のない気持ちを消化したかったんじゃないかと。
彫刻は、愛する人と自分の唯一の繋がりだから。
彫刻以外に、あの人に愛されていたと証明してくれる形のあるものなんてないから。
壊せば、あの人に自分がどれだけ辛いのか気持ちをぶつけたような気になれるけれど、現実に戻れば誰も自分の気持ちを理解してくれているとは思えなくて、周りが皆、自分を利用して貶めようとする敵にしか見えなくなってくる。

もしも、タイムマシンがあるなら、カミーユと話をしてみたいです。
by Jeanne (2014-04-06 15:03) 

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